歴史ある品種「紅玉」って知ってる?【酸味とともに歴史を味わう】

リンゴの品種「紅玉」はご存知ですか?

最近はあまり見かけなくなったという話を聞きました。「懐かしいリンゴだ。」なんて言われることもあります。

「歴史ある品種」というタイトルですが言い方を変えてしまえば「古い品種」です。

そんな「古い品種」を今回はあえてしっかり紹介しましょう。

 

紅玉は日本の文明開化そのもの!?

紅玉が生まれたのはアメリカ、アメリカでの名前はジョナサン(Jonathan)。紅玉の別名として聞いたことがある人もいるんじゃないでしょうか?

起源には2つの説があるらしいです。以下wikipediaから引用。

ひとつはレイチェル・ネグス・ヒグレイが育てたという説である。家族が1804年にオハイオ州の荒野へ入植する際に、ヒグレイはコチカネット州のサイダーミルから種を集めて、その種を植えた。彼女は慎重に自身の果樹園を運営し、そこから育ったリンゴに夫の名「ジョナサン・ヒグレイ」から名付けた。

もう一つの説は1826年にニューヨーク州アルスター郡_ウッドストックのフィリップ・リックの農場のエソパス・スピッツェンバーグの苗から生じたというものである。元来は「リック」と呼ばれていた可能性があるが、オールバニ園芸協会会長ジャッジ・ビュエルによって、そのリンゴを発見しビュエルの注目を引きつけたジョナサン・ハズブルックの名から取って改名された。

上の説だと1804年(214年前)、下の説でも1826年(192年前)に生まれた品種であることがわかります。長野県果樹指導指針には「エソーパスの実生(種からできた)と言われている。」と書いてあるので下の説が有力なんでしょうか。

二十世紀が1898年(120年前)の品種だぜ!と記事にしましたが紅玉はそれよりも昔に生まれており相当古い品種であることがわかります。

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2018年9月18日

 

日本へは1871年(明治4年)に導入されたようです。

当時は文明開化の流れ真っ盛り。「西洋の流れをどんどん取り入れよう!」という流れに乗ってアメリカから導入されたものであることが伺えます。

徳川の世がそのまま続いて明治新政府ができなかったら紅玉は日本に来ていなかったのかもしれません。

 

一口かじれば紅玉が辿ってきたアメリカの荒野や日本の明治時代の風景を感じることが出来るでしょうか…?

 

リンゴ好きは紅玉好き?

 

個人的主観紅玉レーダーチャート

 

紅玉の強みは「酸味」

何と言っても紅玉は酸味が強い品種として有名ではないでしょうか?

紅玉の酸味は強いと言っても美味しく食べることが出来るくらいの酸味です。

僕の食べている感覚ではありますが普通に売っているグレープフルーツや今の時期(9月下旬)に出回っている極早生のみかんのほうが圧倒的に酸味が強いと感じます。

もちろん、柑橘系の果物と比べるのは対象としてどうだろうという部分もあるのであくまで主観です。

 

うちの園のお客さんの中には「リンゴは紅玉が一番!」といって毎年買っていく方もいます。もちろん、生食するために。

遊びに来た大阪の友達も紅玉を生で食べさせたら「こんなうまいリンゴははじめてだ。」と絶賛していきました。紅玉があんなに褒められているのは僕も意外でした。

 

「果物は甘いほうが良い!」という流れの中ではありますが、紅玉の強めの酸味は品種としての魅力だと思います。

酸味の効いたリンゴは逆に新鮮なのかもしれません。

 

「甘いだけのリンゴなんて面白くないぜ!」というリンゴマニアの方におすすめなのはもちろん、さっぱりとしたリンゴが欲しい方にもおすすめです。

 

きれいな赤い色、柔らかめの食感。

紅玉はとても着色しやすくてきれいな赤色になる品種です。(着色管理自体は少しやりづらいですが…)

ちょっと赤黒いといったほうが良いでしょうか。日がよく当たるところだと秋映と同じくらい黒っぽくなります。

秋映と違うのは色が薄くても紅玉のポテンシャルは十分に発揮されるというところでしょうか。赤黒い紅玉と赤い紅玉で味がぜんぜん違う。ということはありません。

果肉は少し柔らかめです。「シャキッ」とした食感はもちろんありますが「パリッ」っと言う表現をするには硬さが足りません。お年寄りでも安心して生で食べることができると思います。

 

余談ですが…。「リンゴの唄」の歌に出てくるリンゴは紅玉かも…。なんてことを思いました。
ふじは1962年(昭和37年)に命名、リンゴの唄は1945年(昭和20年)発表。当時は国光という品種がメジャーだったのでリンゴの唄のモデルは国光である可能性のほうが高そうですが…。
紅玉は戦争の時代も見てきたのかな…。とか歴史が長いといろんなことが考えられて楽しいです。

 

料理でもそのままでも使い方様々。

酸味が強いから生食はちょっと…。という人には料理に使ってほしいです。

よくうちの食卓に並ぶ紅玉の使われ方をあげてみると

  • サラダの中に皮ごと薄く切られた生の紅玉
  • カレーの中にすりおろされた紅玉
  • 豚の角煮の中に種をとって四つ切にされた紅玉
  • 肉巻きの中に紅玉

サラダだと赤い色がアクセントになりますし、甘味抑えめの品種なので他の味を邪魔せずに美味しく食べることができます。

加熱することによって酸味もマイルドになりますので酸味が苦手という人にもおすすめです。

 

もちろん生で食べても美味しいです。確かに甘味は抑えめですが酸味の効いたさっぱりとした味わいは他のリンゴでは味わえないでしょう。朝まるかじりして一つ食べきると目がシャキッとしてお腹いっぱいになります。

 

 

まとめ

  • 約200年をみてきた歴史あるリンゴ、紅玉
  • 生食でも美味しく食べれられる!でも酸味は強め!
  • 酸味が苦手な人は料理でいろんなものに使ってみて!

 

将来酸味の強いリンゴが登場するなら加工用を目的とした品種だと思います。きっと生で食べるには酸味が強すぎると勝手に予想しています。生で美味しく食べられる酸味の程度は紅玉がベストだと思っていますが…。未来のことはわかりません。

 

 

最後までお読み頂きありがとうございました。
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