【長く愛される青梨】二十世紀梨もおいしいよ。

二十世紀梨は袋をかけて栽培します。アイキャッチ画像はもちろん二十世紀梨

我が家では梨も栽培しています。そのなかでも一番大きな面積で栽培しているのは二十世紀梨です。

世の中も二十一世紀になっていますし、僕の中ではなんだか古い品種のイメージもあるんですけどね…。

うちの周りでも栽培面積は減っていますが食べれば確かに美味しいよね。という記事です。

 

梨にもいろいろあるよ

梨にも幾つかざっくりとした分類があります。

みなさんがよく知っているところだと「洋梨」と「和梨」でしょうか。

洋梨

「洋梨」は滑らかな舌触りと追熟された甘い味が特徴の梨ですね。収穫後に追熟(収穫後1週間とか2週間とか置いておきます。)しないといけません。食べるまでが面倒であったり食べるタイミングが早すぎたり、遅すぎたりと美味しい「洋梨」を食べるのは実は少し難しいです。

僕はなめらかな食感が昔は苦手でした…。でも、やっぱり食べごろの「洋梨」は美味しいです。

和梨

左:二十世紀  右:豊水

「和梨」は日本の人に「梨ってどんなの?」と言うときに真っ先に思い浮かぶ丸くてみずみずしい、シャリッとした歯ざわりが特徴の梨です。

「和梨」の中でも「青梨」と「赤梨」って区別ができます。

「青梨」の代表が二十世紀なんですね。熟すと段々と黄色くなってきます(画像はだいぶ黄色に近いですね)。でも名前は「青梨」です。

「赤梨」の代表的な品種は幸水とか豊水とか最近は南水が話題でしょうか。これらの品種は今回詳しく取り上げませんが「あま〜〜い」梨といえばこの「赤梨」のグループだと思います。

 

ちなみに、特徴的なシャリシャリとした食感は果肉に存在する石細胞によるものです。

Wikipediaからの文章をそのまま引用します。

石細胞(せきさいぼう、stone cell)とは厚壁細胞(こうへきさいぼう、sclerenchyma)の一種。細胞の細胞壁にリグニン、ペントザン、結晶化したセルロース、シリカ(プラントオパール)などの物質が蓄積し石のように硬くなったもの。細胞壁が厚く発達し木に近い状態に変化(木化)しており、細胞自体は死んでいる場合が多い。

通常石細胞は植物の皮などに存在し、野菜や果物の皮の部分に多く存在するが、ナシ、フェイジョア、釈迦頭、マルメロなどは果肉に多くの石細胞を蓄積している。植物の表面に存在する石細胞の役割は組織を固くし保護する為といわれているが、ナシの果肉に存在する石細胞の役割はよく分かっていない。

石細胞は人間が食べた時の食感に影響しており、ナシのシャリシャリ感や釈迦頭の砂糖を噛むようなジャリジャリした食感は石細胞によるものである。また石細胞は人間の胃腸では消化されず、腸を刺激し便通を良くする効果があるといわれている。

梨の果肉の石細胞の存在する理由はよくわからないんですね…。食物繊維と同じ働きも持っているようなので便秘の解消にも役立ってくれることでしょう。

生物学的に梨に石細胞がある理由が分からなくても「シャリシャリとした食感が好き!」という人がいればそれだけで存在する価値はあったんです。きっと。

もっとちなみにですが、「洋梨」に親しんだ西洋の方は「和梨」のシャリシャリは「砂を食べてるみたいで苦手…。」という人もいるみたいな話を何処かで聞きました。僕とは逆ですね。

 

二十世紀梨ってこんな梨

実は歴史も長く、二十世紀と命名されたのが明治31年(1898年)。これからまさに20世紀が始まる!と言うタイミングで命名されました。品種としては120歳になるこの品種は未だに多くの人に知られていて市場でも多くが流通しています。

120年前の品種が今も市場で流通して多くの人に知られているというのはなかなかグッと来るものがありますね。ありませんか?品種を命名したり育てた人はきっと嬉しいことなんだろうな。と思います。

しかし、時間は流れるものです。この記事を書いているのは2018年。二十世紀梨はきっと「後100年もこの品種が愛され続けますように。」と言う願いでつけられたものでしょうが21世紀となった今では昔の品種といったイメージもあるんじゃないでしょうか。

私も二十世紀梨は骨董品だと思っております…。我が家にも僕の曽祖父が植えたらしい樹がまだ現役です。(果樹棚も低く作業性は悪い、収量も微妙という経営的にはどうなんだ!?と思いますが父は植え替える気もなさそうなのでまだまだ頑張ることでしょう。)

 

二十世紀の魅力

ちなみに真ん中の芯の部分はスッパ渋いので僕も食べません。

程よい甘みとみずみずしい果肉、そして少しの酸味。

さっぱり爽やかと言ったら良いでしょうか。梨といってイメージする「あま〜〜い。」とは少し違うと思います。

みずみずしい。まるで水を飲むように食べてしまうのが二十世紀ではないでしょうか。和梨のシャリシャリとした食感とさっぱりとした甘味で古いながらも根強いファンが居るのもこの品種の特徴だと思います。

9月の残暑の中食べるには良い梨だと思いますが、最近は甘い赤梨に押されて衰退気味です。

 

お願い!赤梨と比べながら食べないで!

いや。それを言ってしまったらダメだろうと思いますがあえて言ってしまいましょう。

赤梨(幸水、豊水、南水 等)とは食べ比べないでください!

赤梨のほうが圧倒的に甘いので赤梨を食べた後に二十世紀梨を食べるとまるで大根のように感じてしまいます…。

果物の宿命として「甘いほうが良い」という流れがあることも確かですが、甘さだけで色々な品種が淘汰されていくのも面白くないなぁと思っている僕もいます。

もちろん二十世紀梨も甘いです。二十世紀梨だけで食べると「美味しい!」と皆さん言ってくれます。しかし赤梨が横にあるとどうしても二十世紀梨の甘味は物足りないと感じてしまいます。

二十世紀梨のポテンシャルを最大限感じたいならば喉がかわいたときにシャリッと食べるのがおすすめです。

 

二十世紀梨、21世紀も頑張り続ける。

昔は病気にもよくかかる品種でしたが袋掛けや防除の進歩によって作りやすい品種になりました。二十世紀梨をガンマ線で病気に強くしたゴールド二十世紀なんていう品種もあります(もちろん安全性に問題なし)。

多くの人に根付き長く愛された品種ですが赤梨の甘さには勝てそうにありません。

しかし命名から120年経った今でも二十世紀にはまだ根強いファンがいます。贈答用で送ってほしいという注文もよく来ます。ただ、段々生産量も少なくなるとおもいます。(僕が知っている果樹事情はせいぜい長野県内なので他県でどうなっているかはわかりませんが。)

21世紀になってからだいぶ経ちますが二十世紀梨も頑張っています。二十世紀梨を食べるときは120年の歴史も感じながらシャリシャリと食べるのも良いんじゃないでしょうか。

 

まとめ

  1. 和梨、青梨、二十世紀梨!
  2. 120年の歴史を持つさっぱりとした甘味の梨!
  3. 食べるときは是非、二十世紀梨だけで!

 

次の100年を見据えることが出来る品種は簡単にはできませんね。流通の形も需要も100年前とは全く違いますし100年後は気候もどうなるかわかりませんから…。

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