前にちょっと変わったリンゴとして紹介したまるかじり専用リンゴ。
紹介したときの記事はこちら
僕の園でつくっている量は少ないですが個人的に期待しているリンゴなので記事を一つ使って「シナノピッコロ」を紹介します!
「シナノピッコロ」の「ピッコロ」はイタリア語で「小さい」を意味する「piccolo」です。
ナメック星人であったり、大魔王であったりするピッコロではありませんのでご注意を。
目次
いつものリンゴ、食べるの面倒じゃないですか?
有名なリンゴの品種と言うと「ふじ」ですが切って食べるの面倒じゃないですか…?
それに加えて皮もむかなくちゃいけないとなるともっと面倒じゃないですか…?
慣れた人には全く問題ないかもしれませんが、僕みたいに不器用な人だと皮を厚く切りすぎて「もったいない!」と思うこともあるかもしれません。(だがら僕は基本的に皮をむかないんですが…)
それに、一人で一度に一個食べるには多すぎじゃないですか…?
「みんなで分けたりすれば問題ないよ!」とか「リンゴ好きだからそのくらいなんともないよ!」って人は素晴らしいです。そうやって皆食べてくれれば私達農家も超うれしいです。もっと食べてください。
上の問いに一つでも「Yes」があった人はこの記事を是非読んでいってください。
一つの「Yes」がなかったひともこの記事を読んでちょっと違ったリンゴも好きになってください。
生産量も少ないと思うので手に入りにくいかもしれません。「こんなリンゴあるんだ〜」くらいに思ってもらえれば嬉しいです。
忙しい現代人にも。ちょうどいいリンゴ
上の問いに全部「No!」で答えられるリンゴを考えてみましょう。
一人で一度に食べるには大きいから切るのであって、皮が邪魔だから皮をむくんだと思います。
ちょっと小さい「まるかじり」に最適なリンゴがあれば解決できませんか?
シナノピッコロは約200g。
今年はちょっと多く実をつけすぎたのでちょっと小さめになってしまいました…。反省しております。
個人差もありますが確実に食べやすい量に収まっていると思います。

500円玉と並べてみました。
9月中旬現在、生育中の「ふじ」と比べても小さいのがわかります。

左が「シナノピッコロ」右が生育中の「ふじ」
「シナノピッコロ」の果皮が赤くない!微妙!と言う方へ。
後述しますが、小さいため管理作業に手がかかります。省力化のため着色管理を省略しました。もちろん、食べるのに何の問題もありませんし、この後、僕が頂きました。美味しかったです。
それにこの大きさならまるかじりにちょうど良いのです。
「リンゴを食べたいけど包丁つかわないと…。じゃあ、食べなくていいや。」となりがちな忙しい現代の人にもおすすめできます。
大切なことを言うのを忘れていました。「おいしい」です。
甘味もしっかりとありますが、酸味があるため全体的に締まった味になっています。暑い9月でも爽やかに食べることができます。
またこの品種は果実の軸が出ている部分に「さび」と呼ばれる茶色いかさぶたのようなものができやすい性質があります。果実を守るためにできるもので内部に影響が出ることはありません。もちろん食べても大丈夫です。

中心から広がっているのが「さび」 そのまま食べても大丈夫
「まるかじり専用」品種は他に「シナノプッチ」があります。こちらは酸味が少なめで甘味を強めに感じるので「甘いのが好き!」という方は「シナノプッチ」を選ぶと良いかもしれません。こちらの品種は僕の園にはありませんが…。
切らない!皮もむかない!かじりつけ!

手に入れたら美味しく食べるために必要な道具はありません。
リンゴが大きすぎて「うまくかじりつけない!」と言った悩みもありません。
忙しい朝でも、お昼のお弁当と一緒に持っていっても、テレビをなんとなく見ながらでも
とりあえずリンゴを掴んでリンゴの「肩」のような部分をがぶり。「パリッ」という小気味いい音とともに爽やかな果汁が口の中に広がります。
手間をかけずに美味しいリンゴが食べられるって最高じゃないですか?
ここまで下手なセールスのような文章を描きましたが「シナノピッコロ」は良い品種だと思っています。
果肉もしっかりとしているため皮も一緒に噛み切れます。それに一緒に食べた皮が歯と歯の間に挟まったり、リンゴの果肉の食感を邪魔するようなこともありませんでした。パリッとした食感が好きな人にもおすすめです。
果汁が垂れてしまい手がビタビタ、ベタベタになることもありませんでした。りんご自体も小さいので大きい口を開ける必要がないのも関係するんでしょうか。これもうれしいですね。
まさに「まるかじり専用」なのです。
僕の考える一番美味しいリンゴの食べ方がまるかじりなのも猛プッシュする理由でもあります…。
健康のために1日1個!
食事バランスガイドでも1日200gが推奨される果物。
「シナノピッコロ」なら何も考えず1日一個食べるだけで良いのでは!とおもって量ってみました。
前回食事バランスガイドを紹介した記事はこちら
実際に重さを量ってみるとこのくらいでした。

もちろんお皿の重さは抜いてあります。
ちょっと少ないですね。残念。
食べ終わると芯が残りますね。残った芯だけではかるとこのくらい。

食べ残しを見せるな!という方。申し訳ありません。このあと美味しくいただきました。
188 ー 23 = 165g
食べた分は165gでした。
やっぱり1日1個では足りませんね…。ならば朝夜食べれば300g以上!
ご飯と一緒に食べるとお腹いっぱいになりそうなので、10時と15時のおやつにスナック菓子の代わりに食べるのがおすすめかな。なんておもいます。
作る方、売る方のちょうど良くない悩み

「まるかじり専用りんごいいよ!」ってここまで散々書いておいてなんですが…。
消費者にとっては最高にちょうどいいリンゴであっても、昔からリンゴを作ってきた農家にとってはちょうど良くないことも多いんですね…。
- 小さいと贈り物として不十分じゃない?
これは果物を贈り物として考えている方々の意見ですね。自分で食べるのにはこのくらいでも十分なのでは?贈り物というよりも気軽なプレゼントなら人にあげるのも良いかもしれません。 - 小さくて作業が面倒。価格に反映しにくい。
普段、僕達はリンゴ一つ一つについて管理作業を行って育てています。小さいリンゴについても同じように作業をするととても大変な労力がかかってしまいます。なので今回は着色管理を省略しました。さくらんぼのように1kg2500円と言った高い値段で売れれば話は別ですがそうなると普段から食べてほしいという願いにも反してしまいます…。農家としては良いものは作りたいですが「手間に応じた収入が得られるか」と考えなければいけません。 - 知名度の低さ、本当に有利な販売が出来るのか…?
これが一番の理由で今回記事を書いたかもしれません。とりあえず知ってほしい。食べてほしい。欲しいという声が増えれば生産量も増えますので…。樹を植えてから満足するものがなるまで4年位かかります。売れるかどうかわからないものに時間をかけることはあまりできないのも生産量が少ない理由じゃないでしょうか。
でも、毎日食べる小さい「まるかじり」リンゴが一番になってしまうと生産力のある海外産のリンゴが強くなりそうでちょっと怖いんですけどね。
まとめ
- 小さいりんご!美味しいりんご!
- 手がかかることはない!かじりつけ!
- 1日1個でもいいんじゃない?
- 生産する側はあまり乗り気じゃないのが現実かもしれない…。それでも僕は期待してる。
ぶどうは「種のある巨峰」から「種のない巨峰へ」そして「皮ごと食べられて種もないシャインマスカット」へと流行は移りました。
「手をかけずに食べやすく」がキーワードだと勝手に思っていますが、手をかけず食べやすいリンゴは受け入れられるでしょうか…。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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