【リンゴといえばこの品種!】サンふじを食べよう!

リンゴ品種で一番有名で世界で一番栽培されているのが「ふじ」です。

「サンふじ」も「ふじ」も本質的には一緒のものですが、袋掛けをせずに栽培したものを「サンふじ」と呼んでいます。

しかし、最近は袋掛けをして栽培することも少なくなったのでわざわざ「サンふじ」と呼ぶことも少なくなりました。

記事の中でも単純に「ふじ」と書いていくことにします。

余談ですが、袋掛けを行っていた理由は果皮の着色増進のためです。

袋掛けをしなくなったのは省力化が求められたこと、優秀な着色系(色のつきやすい)品種が登場したことによります。僕が生まれたときにはすでに袋掛けを行わない方法で栽培されていました。

 

説明不要!?「ふじ」の魅力

「ふじ」は農林水産省果樹試験場が「国光」に「デリシャス」をかけて誕生しました。

「ふじ」と命名されたのは昭和37年です。富士山を思い起こさせるネーミングは日本一のリンゴ品種になってほしいという思いが伝わってきます。

甘い中に少しの酸味!美味しいりんごのお手本

超個人的「ふじ」チャート

糖度、酸度ともに高めのいわゆる濃厚な味です。

酸度も高いはずですが、甘さに押されて強い酸味を感じることありません。

果肉も硬くてしっかりしています。

同じように果肉が硬い「シナノゴールド」と食べた食感を比較してみると「シナノゴールド」のほうが軽い食感で、「ふじ」は果肉が詰まっていて食べごたえがあります。

非常にみずみずしく、甘みも強いので万人におすすめできる美味しいりんご品種です。

 

見た目もみつが入ってきれい!

「ふじ」といえば「みつが入っていたほうが美味しい!」といったイメージがありますね。

皮を剥いて8等分に切ると見事なみつが…!

黄金色とも言えるみつの色はきれいですし、みつが入っているだけで商品価値も上がる気がします。

外観の赤い色も見て楽しいポイントだと思いますが、切ったときのみつ入りも「ふじ」を楽しむポイントになっているんじゃないでしょうか。

収穫から1ヶ月も経つとみつも消えてしまうため、みつの入った11月の「ふじ」は旬の果物の証としても希少価値があっていいと思います。

 

ちなみに、勘違いしている方も多いですが、みつは蜂蜜はなく英語で書くと「honey」でもありません。

リンゴのみつは英語で書くと「water core」となります。みつの正体はソルビトールが水を吸ったもので甘くもないんですね。

別に注射器で入れているわけでもなく「こうすれば確実にみつが入る!」ということもありません。気候と栽培管理がうまく言ったときに完熟のサインとしてみつが入ってきます。

みつ入りがない年もあるのでそのときは「ちゃんと入れてくださいよ!!」とお叱りを受けることもありますが、入らない年は入りません…。出来る限り良質な「ふじ」を作りたいと努力した結果、みついりが無ければお許し下さいと言うしかありません。

 

貯蔵性が良く、長い間楽しめる!

基本的にみつが入る品種は貯蔵性が悪いと言われることが多いですが、「ふじ」は貯蔵性はすごく良いです。

ただし、「ふじ」はみつが入った部分から褐変して悪くなることが多く、みつが入っていない(少ない)もののほうが長く持ちます。

リンゴを長く楽しむために【リンゴの保存方法】

2018年11月4日

普通に冷暗所に保管しておくだけでも2ヶ月くらいは持ちますし、冷蔵なら5ヶ月くらいは貯蔵して楽しむことができます。

もちろん、食感や酸味は落ちていきますが、「もう…食べられないよね…」となることはそうそうありません。

飽きてきたらジャムにしてもいいし、芯をくり抜いてバターと砂糖を詰めてオーブンで焼いてみるのもいいでしょう。

貯蔵性が良いことによって「ふじ」の楽しみ方も広がるのではないかと思います。

 

たったひとつの美味しい「ふじ」の見分け方

「赤いリンゴは美味しいりんご!」というわけでもありません。

見てわかる美味しい「ふじ」の見分け方です。

「おいしいリンゴはお尻をみよ!」です。これしかありません。

道具もいりませんし、お手軽です。ただ、お尻まで真っ赤に着色しているものは判別しにくいかもしれません。

ポイントは「お尻が緑色ではない」こと。

リンゴのお尻部分を見て「これは緑色だ!!」と思うようならそのリンゴには期待しないほうが良いでしょう…。

栽培の指針には「その他評価基準も含めて総合的に判断すること」とありますが、果皮の赤色以外にはこのお尻の色がとても重要だと思っています。

写真で取ると判りにくいですね。左側は収穫には少し早い代表として収穫しました。

 

ちなみに、「ふじ」は様々な系統があり、栽培されている場所も方法も様々です。

袋掛け栽培であると緑色が薄かったり、地面に銀色の反射シートを置いて着色を進めているとお尻の部分まで赤くなっていて判断が難しい場合があるので一概にこれだ!!といえないのも難しいところです。

実際も果皮の色とお尻の色を見て、切って、食べて、「美味しい!」と思ってから収穫に入ります。

 

難しいところではありますが、消費者の方が見るだけで美味しいりんごを判断するにはこのお尻を見るのが一番だとと思います。

 

栽培は実は難しい…。

日本でも、世界でも大量に栽培されている「ふじ」ですが、栽培は難しいです。

そこそこの味なら問題なく栽培できるようですが美味しい「ふじ」は一筋縄ではいかないようです。

収穫が11月上中旬なので、花が咲いてからの栽培期間は半年になります。

期間が長くなれば台風に遭う機会も増えますし、気をつけるべき病害虫も必然的に増えてきます。

樹の特性も他の品種とは少し異なっていて、良い果実を作るには年間通してのテクニックが必要になってきます。
(僕はこれから失敗を繰り返して学んでいくのかなと思っています。)

「ふじ」が美味しいリンゴ園は間違いなくほかのリンゴも美味しいです。

 

今は研究も進んで昔のように「この道30年のベテラン」でないと満足するものが作れない。なんてことは無くなりましたが、リンゴ品種の中で栽培が難しいのは変わりません。

 

旬の「ふじ」をぜひ食べてほしい!

時期になれば比較的手頃な値段で旬の「ふじ」を食べることができます。

食べてこそわかる美味しさがありますし、年内ならみつ入りも期待できます。

 

僕はあまりやったことがありませんが、「ふじ」は栽培方法、栽培地域で食感や味が全く違うそうです。

全国から美味しいと言われている「ふじ」を取り寄せて自分に合った地域や農家さんを見つけてみるのも良いかもしれません。

 

僕の園でも全国に宅配で発送しています。

本来なら大々的に宣伝していきたいところですが、注文用ページが間に合わなかったので「ふじ」がほしい方はお問い合わせフォームから御一報ください。11月30日までは毎日確認したいと思います。

一番小さいサイズで5キロ箱で送料もかかるので気軽に注文してください。と言いにくい状況です…。

 

まとめ

  1. リンゴの美味しさを濃縮した品種!まさに日本一のリンゴ!
  2. 美味しいりんご探しはお尻を見てみよう!
  3. 旬の時期を逃さずに食べて!

 

 

晩生の新品種は「日本一の山にぶつかるから…」と期待も栽培も進まないほど「ふじ」は存在感のある品種です。
「ふじ」と勝負できるリンゴを育種しようと頑張っているようですがなかなか難しいですよね…。

そんな中、少しベクトルは違えど「ふじ」と勝負できるキラー品種が登場してきましたね。赤果肉。期待しています。

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2018年8月1日

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